このブログについて

ソフトウェア開発におけるエラーの予防やプロジェクト管理、品質管理を支援するParasoft製品のTIPSなどを、国内総販売代理店テクマトリックスのサポートスタッフが紹介しています。

2015年10月27日火曜日

IEC 62304 とは?

今回は、本ブログでもたまに登場する「IEC 62304」という規格について説明します。

IEC 62304は、医療機器ソフトウェアの安全性向上を目的としたソフトウェアライフサイクルプロセス(ソフトウェアの開発工程と保守工程)を規定した国際規格です。この規格では、高信頼性かつ安全なソフトウェア製品が開発されたとすることに信頼を持つことが出来るようにプロセス内で実施すべきアクティビティやタスクを示しています。





20065月に発行され、欧州ではEN62304としてMD指令、IVD指令の整合規格とされています。米国FDAにおいても20087月にRecognized Consensus Standardと認定されています。中国では推薦性業界基準YY/T 0664-2008として中国語版IEC 62304が規格化されています。日本国内では2012年にJIS化(JIS T 2304)され、201411月に施行された医薬品医療機器法第12条第2項において参照される「最新のライフサイクルモデル」として使用することができると考えられます。

つまり、世界の多くの国、地域でソフトウェア制御を含めた医療機器を販売するためには、その安全性を証明することが必須になっており、そのためにはソフトウェア開発・保守においてIEC 62304に準拠することが求められています。


IEC 62304に書かれている開発プロセスと保守プロセスのアクティビティを図にするとこのようになります。

IEC62304のソフトウェア開発プロセス

IEC 62304のソフトウェア保守プロセス

一般的なソフトウェア開発・保守と何が違うのか?


注意すべき点は、IEC 62304に即した手順によって開発工程を実施し、定められた成果物を作成していく必要があります。 従って、時間やリソースが十分に与えられないソフトウェア開発の現場に散見されるような、設計書を書かないまま実装だけが進んでしまったり、単体テスト、結合テストをとばしてシステムテストだけで検証を終えてしまったり、といったことが許されません。

■通常のソフトウェア開発・保守と異なる点
IEC 62304に則した医療機器ソフトウェアの開発・保守では、ソフトウェア開発・保守期間の各フェーズにて、設計・仕様等のソフトウェア開発成果物に基づく患者、および医療従事者の安全にかかわるリスクマネジメントの実施が求められることです。

テクマトリックスではIEC 62304 への準拠、ライフサイクルプロセスの効率化や自動化、または医療機器ソフトウェアに関するMDD、MDR、FDA、CFDA申請に向けたソリューションを提供しています。
また、医療機器ソフトウェアについて、IEC 62304(JIS T 2304)およびFDA適合対応に関係する無料相談会も開催しております。

弊社Webサイトではソリューションの詳細、セミナー情報、各種技術資料なども併せてご紹介しておりますので、是非ご参考ください。



 医療機器ソフトウェアSLCP支援ソリューション詳細

2015年10月8日木曜日

Jtest DTP・Parasoft DTP を利用した短期・高品質開発

短期・高品質開発を実現する仕組みとは?

今回は、Jtest DTPとParasoft DTPを組み合わせた短期・高品質開発を実現する仕組みをご紹介します。

短期・高品質開発を実現するJtest DTP、Parasoft DTPの仕組みは以下の通りです。
図の仕組みに関して詳細にご説明いたします。

①継続的インテグレーションによる問題早期発見

継続的インテグレーション導入により、ビルド・インスペクション・テスト・パッケージング・リリースを継続的に実行し、開発・テストプロセスで発生する問題の早期発見が可能です。「問題点→対策」の一例を以下に示します。

  • ビルドが壊れた!→コンパイル不能なコードを特定しビルドが通るように修正
  • インスペクションで指摘が発見された!→バグの場合は早期に修正
  • テストが失敗した!→バグの場合は早期に修正
  • 上記すべてを合わせて、リリース可能なモジュールか判断可能!

特に、Jtest DTPによるインスペクション・テスト自動化により、コーディング工程で結合レベルのバグを早期発見したり、人の目では追えない複雑な処理(Exception発生時の処理等)で発生する問題を特定することができ、早期に品質を向上させるための基盤を整えることができます。

※Jtest DTPで検出できる指摘については詳しくはJtestとOSSとの違いを参照ください。

②Parasot DTPによる問題点可視化・リスク分析

継続的インテグレーションで発生した問題を眺めているだけでは、何も解決しません。問題が改善しているのか、リアルタイムで確認する必要が出てきます。

Parasoft DTPでは、インスペクション、テスト、メトリクス、ビルド等さまざまな情報を一元的に収集して表示できます。ウィジェットの一例を示します。

問題の発生状況をリアルタイムで確認

ウィジェット概要
指摘事項の傾向を表示し、改善しているかを確認できます。
ソースコードメトリクスに順守して開発しているかを表示します。赤は指摘、緑は順守していることを示します。
Jenkinsのジョブの状況を表示します。

多角的なデータからリスクを特定し、自動的に優先度付け

ウィジェット概要
モジュールのビジネスリスク・セキュリティリスク・指摘数からリスクのあるモジュールを特定します。
Googleのバグ予測スコア・サイクロマチック複雑度・コードボリュームから複雑でバグの混入確立が高いコードを特定できます。

③優先度付けされた指摘の取り込み、修正と生産性の高い開発

開発者は優先度付けされた指摘事項やテスト結果をIDEに取り込めます。 普段使いなれたIDE上で確認ができるので 生産性の高い開発も実現できます。

EclipseとIntelliJ IDEAに指摘を取り込んだ画面



開発者の手元でも解析を行えるので、チェックイン前のコードの品質を高めることができます。

最後に

いかがでしたでしょうか。Jtest DTPとParasoft DTPを組み合わせることで早期に問題を発見し、改善状況をリアルタイムにモニタリングできます。また、多角的な情報からリスク分析することで、ソフトウェア開発をより潤滑に進められるのではないでしょうか。

今回ご紹介した Jtest DTP、Parasoft DTPに関するセミナーを10月23日に実施いたします。

セミナーにつきましては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひこちらも御覧ください。

「2015年10月23(金)開催セミナー JALインフォテック様における旅客システム開発の品質向上事例紹介!」



また、Parasoft DTPの体験版もご用意しておりますので、ぜひお問い合わせください。